お風呂上がりは、ジンと決めている。
キンキンに冷やして、冷凍庫でとろりとしたジンを「くいっ」といく、これが風呂上がりの理想系。
「もしもし、これじゃまなんですけど」
料理を作りに来ていれたきみが以前そう言った。
そのときからジンは冷凍庫から冷蔵庫に移され、「くいっ」とはできなくなった。
それからは冷蔵庫に移されたジンをグラスに注ぎ、氷をいれて「ぐいぐい」と飲む。それほど悪くもない。
「もしもし、これ外にださない?」
今夜余った食材を保存するのに、またこのボトルが邪魔なんだね。でもね、
「そこまでは譲れないな」
風呂上がりのぼくは、ジンをグラスに注ぐ。
「ひとくちどう?」
きみは首を横に振り、
「もしもーし、みなさん、一歩さがってくださーい」
今一度、冷蔵庫の住民に声をかけ、きみは整理にとりかかった。