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B.O.D.Y. #1° c o f f e e °, originally uploaded by di1980. コールマンのガスバーナーが珈琲をいれるためのお湯を沸かすのを見ながら、祐二はジャケットを探った。携帯電話をポケットから取り出すと沈み行く太陽に目を向けた。西の空は雲一つなくどこまでも澄んでいて、目の前の川面も夕日と一緒に眩いオレンジ色に染まるのは時間の問題に思えた。 —このコールで涼子がつかまれば間に合うな。 3回目の携帯の呼び出し音が祐二の耳に響く。 —あいつ、覚えてるかな、この場所。 5回目の呼び出し音が祐二の視線を太陽と重なる遠くの観覧車へ移させる。 —留守電に切り替わらないってことは、いるのかな? 「、、、」 「あ、涼子。祐二だけど、今、時間、大丈夫?」 「、、、」 「涼子、聞こえてる?」 「プープープー」 —おかしいな?番号を間違えたかな? 祐二は再度、今度はメモリーから呼び出した電話帳を念のため確認し、発信してみた。 祐二からの電話を取った彼女は携帯を床に置いたまま、部屋の片隅に後ずさりしている涼子本人を見つめていた。涼子の携帯は床に置いたというよりは、放り出されたと言う方が正確なのかもしれない。 「イマノハダレ?」 たどたどしい日本語、話し方。涼子にはその彼女の言葉は口からもれる空気の音としか思えなかった。 「ユウジ、ダレ?」 ユウジ、ゆうじ、祐二、彼女の音が涼子の意識を反応させた。涼子をいくぶん正気に戻すきっかけになる音、単語、言葉、名前、祐二。 —祐二からの電話だったんだ。 自分に向ってくる彼女よりも後ろに無造作に転がっている自分の携帯が涼子の目に入った。 —あれじゃ、祐二がまた電話をかけてきても取れないよ。 気落ちする涼子の視界から携帯を遮るように、彼女は四つんばいで近づいている。全裸の彼女、何ひとつ身にまとっていなく、涼子の思考能力に混乱を招かせる容姿。その彼女は涼子にさらにじりじりと近づいてくる。涼子は目と鼻の先の現実を認識できないでいた。認める努力すら麻痺していた。 —どうして。なぜなの。 ついに彼女は両手で涼子の顔を覆うように包んだ。震える涼子の唇を自らの唇でふさぎ、涼子が気が遠くなり始めると服を脱がしにかかった。涼子の震えの止まらない両手、両足での抵抗は何ら意味のないものだった。涼子の身体を覆うものがなくなったとき、それまで以上に震える涼子の身体を彼女はやさしく、でも吸いつくように抱きしめた。その身体ははじめ水のように冷たく、次第に涼子の体温と同程度に感じられるようになった。そのころには涼子の震えは収まったが、すでに抵抗する気力すらなくなっていた。 (続く)
by hello_ken1
| 2005-10-08 11:53
| B.O.D.Y.
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