N43で飲んでいると、きみの声をtalbyが受けとめた。
静かな夜景と気だるいJAZZ、灯だけで着信を知らせるtalby。きみの声が夜空をこえる。
「おめでとう」
talbyを片手に店のドアを開け、外にでる。
受話器に触れるぼくの息は白い。GWだというのに足下に白い雪が残る。
「ありがとう」
「毎年、今日は別々ね」
「そんなカップルも、」
「好きよ」
きみの笑顔を思い出し、talbyをポケットにしまう。
ー来年の今日こそはきみのそばできみのくちびるを読もう。
目の前にはこばれたマティーニのグラス越しに、また今年も同じことを考えた。