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プロミス #25とりとめのない話題が続いていた。 ケータイの機種変、体育の先生、受験、隣の女子高の文化祭、ふたりとも話さなきゃいけない話題をさけていた。 「まだ、それ使ってんの」 「そうだよ。手になじんでるし」 おれは二つ折りのケータイを、右手の中で開けたり閉めたりしてみせた。 「いや、そのストラップだよ」 ーああ、こっちね。 それは葉子とケータイ番号を交換したときに、葉子からプレゼントされたストラップだった。普通のシンプルな革のヒモで、おれのは黒、葉子のは白、目立つこともないけれど、お揃いであることには違いなかった。 「なかなかいいよ。ケータイのボディを傷つけないから気にいってるんだ」 男子高校生が学校をさぼってカフェで珈琲を飲んでいる、ケータイをパコパコと開け閉めしながら。 ーおれたちは制服のない学校だから、こんなこともできるんだろうな。 それでも幅の広い歩道に面したオープンテラスのテーブルに、平日の午前中から男の子がふたりで腰かけているのは、お店のウェイトレスさんにも違和感はあるだろう。 「麗奈から何か言ってきた?」 どうでもいい話題も底を尽き、残る話題はふたつだけとなっていた。麗奈のこと、葉子のこと。 ー麗奈のことはきっと進展がないんだろうな、だったら先に聞いておこう。 そんな気持ちからおれはまず、麗奈についての情報をあーくんに尋ねてみた。 でも、一番知りたいことだった。 「元気にしてるのかなぁ」 ケータイでメールをチェックしていたあーくんが、顔を上げた。あーくんのケータイはおれのと違ってジャラジャラと沢山のストラップがついている。あーくんはストラップで重そうになっているケータイをテーブルの端に置いた。 「やりとりはたまにできているんだけどさ」 歯切れが悪いあーくん。 「いざ、会いに行くよ、それともこっちに遊びに来る、って話になると」 あーくんは指でジャラジャラとしたストラップをつついた。 「連絡がすぐ途絶えちゃうんだよね」 残り少ない珈琲を軽く口にして、 「あっ、おねえさん、珈琲お換わりね」 ウェイトレスのおねえさんをタイミングよくつかまえる。 「でもさ、麗奈はおれじゃなくて、ゆうちゃんに会いたがっているよ」 あーくんが足を組み替える。 「そんな気がするんだ。麗奈はおれじゃなくて、はじめからゆうちゃんのことが好きだったんじゃないかってね」 あーくんの口元が、心なし寂しそうに微笑んでいる。 「運動会でおれがハンカチなんて差し出さなきゃ、もっと麗奈は素直に自分の気持ちを一番好きな子に伝えられたんじゃなかったのかなってさ」 おれは無言のまま首を横に振った。どう返事をすればいいのか、わからなくなって、ただ首を振った。 「おれは麗奈のことが好き、麗奈はたぶんゆうちゃんのことが好き、ゆうちゃんはハコと付き合っている」 ーそう言えば、以前ハコも同じことを考えていたなぁ。 ハコも感じて、あーくんも感じる、おれと麗奈のそれぞれの気持ち。誰も正解は知らない。 ーでも、誰が今、一番つらいんだろう。胸が苦しいのは誰だろう。 珈琲を運んできたおねえさんに、あーくんがまた声をかけた。 「灰皿と、それと火あるかなぁ」 自分より十分年下の男の子がタバコを吸うよと宣言している。 おねえさんの眉が動く。 ーきみたちねぇ、まったく。 あーくんはそんなのお構いなしに、タバコをポケットから取りだし、ケータイの横に置いた。 「ねぇ、あーくん、いつからタバコ吸いだしたの?」 苦笑いのあーくんがタバコを口にくわえた。 (続く)
by hello_ken1
| 2007-01-29 16:03
| プロミス
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