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夏の終わりに。白い猫が勢いよく塀から飛び降りた。流れるような動きは柔らかい。 その動きは、朝の透明な空気の中で鳴き始めた蝉の声を止めることもない。 きみは飛び降りた白い猫の行き先を興味深げに見ていた。 「猫、飼おうかな」 留守番させるのがかわいそう、と今までペットは何一つ飼わなかったきみ。 ひんやりとした早朝の公園のベンチで、きみは白い猫から視線を外さずに、猫を飼いたいと口にする。 優雅な足取りで真向かいのベンチの下に入った白い猫は身繕いを始めた。 「わたしの癖とかをね、覚えさせるの」きみはクスリと口元で笑い、言葉を続けた。 「そして、わたしのコピーになってもらうの」 白い猫はベンチの下で、もう飛ぶことのできない蝉を見つけたようだ。 「朝あなたが優しくわたしの名前を呼ぶと、その子があなたのシーツに潜り込んできて、あなたの鼻の頭をなめるのよ」 「ねっわたしみたいでしょ」きみは微笑みながら白い猫を見つめ直した。 七日目をすぎてまだ地上に思いを残す蝉を、白い猫は前足でじゃれている。 時折大きな音を立てる蝉に、びくんと身を構える。 「地面の中の七年間で何思ってたのかなぁ」きみの視線は蝉に移りぽつりとつぶやく。 「出てきたら七日間って知ってて鳴いてたのかなぁ」 飛べない蝉はいきなり白い猫の手をすり抜け、小さな円を地面に描きながら、ベンチの下から飛び出してきた。 白い猫はベンチの下で身構えたまま、じっと蝉を見つめ続ける。 ぼくらを含むそんな光景に、夏の終わりの朝日がゆっくりと照りつけ始めた。
by hello_ken1
| 2005-08-27 03:39
| EndlessGoodTime
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