隣のカップルの会話が聞こえてきた。
「ねぇ今週、毎日会ってるんだね」
きみとぼくは目を見合わせて微笑む。
なんだかぼくたちまでほほ笑ましくなってくる。
「そんな時期もあったよね」
隣のカップルに目配せしながらのぼくの問いかけに、きみはケータイをとりだす。
ー今は週に1回会えるかどうか。ご不満?
と、きみからのメール。
「会うのはね」
ーケータイがあってよかった。
「もしもし?」
ぼくはここにいるんだよ。
「はい。もしもし」
ケータイをバッグにしまったきみはなんだかとっても照れ臭そうで、
ぼくもなんだか次の言葉を忘れてしまったようだ。