懐かしいひとからケータイにメールが届いた。
この季節、残暑見舞いを兼ねているそのメール、
ちょうどテーブルをはさんできみがいた。
ーなつかしいな。
きっとぼくのくちもとに笑みが浮かんでいる。
「もしもし」
「ん」
ケータイの画面に視線を落としたまま、きみに応える。
「もしもし」
ーん。
ちょっと慌てて、きみに視線を戻すぼく。
「今、とってもいい表情だったよ」
「そう」
「うん、とっても。優しい、やわらかいくちもとかな」
ぼくは素直に頷いた。
「ずっと以前の彼女から。元気にしてるって」
きみはいたずらっぽく、上目づかいにぼくをみつめる。
すごくいたずらっぽく。