薄暗い部屋の中、きみはテーブルに向っていた。
テーブルの上の何かに集中している。
ぼくがドアの鍵を開ける音も聞こえなかったよう。
ぼくは手元のスイッチを押し、明かりを点ける。
「ひゃっ」
言葉にもならない声を上げるきみ。
突然現実世界に引き戻されたように、きょろきょろと慌てて部屋中に目を配る。
「もしもしっ、びっくりさせないでよ、もー」
きみが唇をとがらせている。
それはそれでセクシーだね。
「はじめに、こんばんはくらい言ってから入りなさい」
テーブルの上には沢山のちっちゃいビーズが広がっている。
何かアクセサリー、作っていたんだ。
「こんばんは」ぼくはぺこりと頭をさげる。
「こんばんは」きみはちょこんと頭をさげた。