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Midnight Zoo #1
航は信号の赤い色が頬を染める晴香を見ていた。
街灯もないこの交差点、唯一の明かりが信号だった。 信号待ちをする車もなく、この時間、人通りもない交差点、航は赤い光を晴香の左目にも見つけた。 「帰るね」 晴香は航の頬に右手を添えると、ふわりと交差点をわたりはじめた。 思っていたよりもひんやりとした晴香の掌を頬に感じた航は、晴香の言葉でスイッチが入ったかのように、踵を返してさっきまで晴香といたバーに戻った。 「おや」 どうして戻ってくるんだろう、と宙に浮くような声がカウンターの中から聞こえてきた。 自分でもなんで戻ってきたのか説明もつかない航は、さっきまでと同じウイスキーを頼んだ。 ふわりと歩き始めた藤崎晴香のことを知らないわけではなかった。 「ただ」 知っている限りの、 「いや」 ほとんど知らない、名前くらい、名字だけはかろうじて記憶にあった。 真ん丸の氷が沈んだ、浮かぶというより、たしかに沈んだウイスキーグラスが航の視線に入ってきた。 「ひとりごと、ひとりごと」 マスターは笑いながら軽くおかきの山もさし出してくれた。 大通り沿いを夜風に当たりながら、と言えば聞こえは良いが、新聞配達が動き出す前あたりの時間を、少し危うげな足取りで航はマンションに戻った。 ドアを開けると、玄関に桜子の靴が置いてあった。 「おかえり」 リビングから頭にバスタオルを乗せ、航のパジャマを着た桜子が現れた。 「終電なくなったので、寄らせてもらったわ。ちょうど今シャワーから出たところよ」 悪びれる様子もなく、いつも桜子はとつぜん転がり込む。 そして自分が飲んでいたミネラルウォーターを航にさし出した。 「さんきゅ」 航もいつものこととしてグラスを受け取り、二口ほど喉を通す。 航は桜子に続いてリビングに入り、ソファーに腰を下ろした。 「何かあったでしょ。うれしそうな、でも、不思議な顔してる」 のぞき込むように桜子が航の前にひざまづいた。 濡れた髪、白いうなじ、胸の谷間、航は桜子を引き寄せ強く唇を重ねた。 「それも楽しいことだったのかしら」 からめた舌で唇を軽く舐めた桜子は興味津々に聞いてくる。 「藤崎って覚えてるかな」 「どこの」 「高校時代の隣のクラスの藤崎、たぶん」 「さぁどうでしょうねぇ」 桜子は「ふふふ」と笑って航のシャツのボタンに手をかけた。 続く
by hello_ken1
| 2008-11-29 14:26
| Midnight Zoo
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