今は「Midnight Zoo」と「きみのもしもし」を掲載中
by hello_ken1
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きみのもしもし #39

「ねぇどこか連れてって」ときみがつぶやく。
「いいよ」とその気もないくせにぼくは返事をする。

「どこに行きたい?」ときみは乗り気で話を続ける。
「きみが行きたいところならどこへでも」とうわべだけでぼくは返事をする。

「海猫見に行こうか」とぼくがやっと話を進める。
「そんな行けそうもないところを言わないで」ときみの声色が変わる。

「ねぇ、珈琲が入ったよ」と諦めたきみは話題を変える。
「横浜で海猫見れるんだよ」とcoffee cupに両手を添えてぼくはきみをみつめる。

「行くの」ときみ。
「うん」
「もしもし、ほんと行きたいの」ときみがさぐるように繰り返す。
「うん」

 ちょっと寒い日の午後、やっとふたりの気持ちが重なった。
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by hello_ken1 | 2008-01-26 19:39 | きみのもしもし

きみのもしもし #38

 この冬一番の寒さが毎日続く。春への折り返し地点はまだなのかとそのたび思う。
「もしもーし」
「もごもご」
「あれ?メールにするね」
ー風邪かな、大丈夫?
ー風邪じゃないけど大丈夫でもない。
ー寒いからでしょ。あったかくなるように歌ったげるね。
 えっ。
ー春よ恋、早く恋。
 きみは呪文のようにメールで歌う。
 それも、変換違いの来いと恋。
 でも、恋となっているだけなのにほっと暖かく感じるのはなぜだろう。
ーもしもーし。早くよくなりますように。早く暖かくなりますように。
ーそうだね、春よ恋、早く恋、だね。
 桜の花のような、淡いピンク色のきみのほっぺを思いだした。
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by hello_ken1 | 2008-01-25 23:16 | きみのもしもし

きみのもしもし #37

明かりを消して、布団に入る。
左目に涙が溜まっているのを感じた。
右目から涙が少しだけあふれ、耳の方に伝っていくのも感じた。
何があったと言うわけでもなく、
何かをしようとしているわけでもなく、
グローランプだけが点るこの部屋で涙が出ていた。
もしもーし、と舌っ足らずで話しかけるきみの声が聞きたくなった。
どうしたんだろう、どうしてだろう。
ほんのさっきまで話していたのにね。
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by hello_ken1 | 2008-01-20 09:55 | きみのもしもし

きみのもしもし #36

 メガネを外してキスをする。
 メガネをせずにキスをする。
「ちがいはなぁに」ときみが言う。
「なんだろうね」とぼくは答える。

 きみのメガネもかわいいけどさ。
 きみのメガネも床の上。
「どうしてなのかな」ときみが言う。
「どうしてだろうね」とぼくは答える。

ーもしもし、、、もしもし
 こんなときにもきみは言う。
 口ぐせなんだね。

ーもしもし、、、、
 きみのメガネもぼくのメガネも床の上。
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by hello_ken1 | 2008-01-15 00:27 | きみのもしもし

きみのもしもし #35

「もしもし、どこだと思う」
 休日の朝、遅めの目覚まし時計がまだぼくを起こす前のきみのもしもし。
「すごいね。ひとばっかり」
 初売りのデパートにでも出向いたのかな。
「もしもし、起きてますかぁ」
 この姿勢だと肩が冷える。掛け布団を耳元まで引き上げる。
「もうすぐフライト。手荷物受け取るところの出口で待っててね。えーと到着時間は」
ーえっ
「もしもし、聞こえてるよね。よろしくー」
 確かに戻っておいでとは言ったけど、しょうがないなぁ。
 ぼくはそそくさと起き上がり、洗面台に向う。
 鏡に写ったぼくはうれしそうな笑顔に包まれていた。
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by hello_ken1 | 2008-01-06 11:44 | きみのもしもし

きみのもしもし #34

ー何してるの
ー読書
ー何読んでるの
ー伊集院
ー泣いてるんでしょ
 チャットみたいなメールのやりとり。これじゃ読書は進まない。
ーそろそろ戻ってくれば
ーもう少しだけこっちにいるの
ーそう
 文庫本をテーブルに置く。
ーあのさ
 ここ数日の読書も少し飽きてきた。
ー戻っておいでよ
 チャットが止まる。
 少し時間があいた後、ケータイがきみからの電話を知らせる。
「もっしもっし、もう一回言って」
「何を」
 分っているけど、口にするのは何となくはずかしい。
ーもう戻っておいでよ
 頭の中で言葉を繰り返す。
 ケータイの向こうできみが目を閉じて耳をたてているのがわかる。
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by hello_ken1 | 2008-01-05 10:21 | きみのもしもし

きみのもしもし #33

 除夜の鐘が響き零時をまわると、いつもの神社へ向う。
ー今年も、今年こそ
 お賽銭を入れ、鈴を鳴らし、思いを伝える。

「ねぇ、おみくじ引くんでしょ」
「そうだよ」
「大吉当たるかな」
「宝くじじゃないんだから」
 ちょこんと舌を出すきみを思いだす。

ーもしもし、どうだった?
 おみくじを開いたそのとき、きみからのメールが入った。
ーもしもしじゃなくてさ
 あわてなくても大丈夫、ケータイカメラで送ってあげるから。
ーうん、おめでとう
ーおめでとう
 そして、ぼくはきみに大当たりのメールを送った。
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by hello_ken1 | 2008-01-03 03:01 | きみのもしもし