今は「Midnight Zoo」と「きみのもしもし」を掲載中
by hello_ken1
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きみのもしもし #65

「お元気ですか」「元気にしてるぅ」「元気だよね」
 きみからそんな言葉を聞いた事がない。

ーもしもし、何してるのぉ。
ーもしもし、お酒飲んでたでしょ。
ーもしもし、散歩いこっ。
 きみがぼくに声をかけるのは、だいたいこんな感じかな。
 元気かなって聞かなくっても、
 どんなときでも気にかけていてくれるんだね。

 休日の朝、なんとなくきみの声が聞きたくなった。
 きみのもしもし、ぼくは心待ちにしています。
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by hello_ken1 | 2008-04-29 11:18 | きみのもしもし

きみのもしもし #64

 新しいカメラを手に入れたんだね。
 きみは何気にテーブルに置いていた。
 きみとぼくを挟むテーブルの真ん中じゃなくて、きみから見て右手、でも少しだけぼく寄り。
 そんな微妙な位置にきみは新しいカメラを置いていた。
 何食わぬ顔で珈琲を頼むぼく。
 うふふと微笑みながら、指先でテーブルをトントンと軽くたたくきみ。
「もしもし」
 きみはうれしさをこらえ切れない様子。
「どうしたの」
 ぼくはまだまだ気づかないふり。
「もしもし」
 ふきだしそうなきみとぼく。
 きみはきみとぼくとの真ん中に新しいカメラを持ってきた。
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by hello_ken1 | 2008-04-27 09:46 | きみのもしもし

きみのもしもし #63

 ふと思い出した。
 ある夏の日、きみに左肩をペイントしてもらったことを。
 あのときのくすぐったい感触、それをなぜか思い出した。
 右肩だったかも知れない。それすら断言できないほど以前の話。
「もしもし」
「ん」
「わたしそんなことしてないよ」
 ぼくは苦笑いで軽く頭をかいてみる。
 きみはいたずらっぽく微笑んでいる。
「いい思い出なんでしょ」
 頷くぼくにきみは笑顔のまま言葉をつづける。
「わたしもそうなれるかな」
ーなれるとも。
 ぼくはきみの頬に手を伸ばす。
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by hello_ken1 | 2008-04-27 03:15 | きみのもしもし

BD dream

夢を見た。なつかしかった。
心当たりのある方には申し訳ないが、見たんだから仕方ない。
そして、今日の日に残したくなったんだから、ごめんなさい。

そのひとは元気にすごしていると思っていた。もうずっと会っていない。別れてからずっと会っていない。

ぼくはいつものようにカメラを片手に歩いている。足の向くまま気の向くままにパシャパシャ写真を撮りながら歩いている。

気がつくと、とても格式のあるホテルに着いていた。天井が見果てるほど高く、壁は練乳色の大理石のよう。
ボーイと言うよりも執事と言った方が正しい落ち着きのあるホテルマンから部屋に通された。
ぼくが今日ここに来ることはわかっていたと、ホテルマンはうれしそうに満足そうに微笑んだ。そしてその部屋のベッドを手で指し示した。
ベッドにはたくさんの封筒が置かれていた。すべてにそれなりの宛名が書かれていた。
「わたしを大切に育ててくれた両親へ」「親友のあなたに」「元彼に」そんな宛名が書かれた封筒だった。
ホテルマンに振り返ると、彼は静かに頷き部屋を後にした。
「元彼に」これなんかぼく宛だな。でもしっくりこない。ベッドの上の封筒の宛名をもう一度ひとつひとつながめてみた。するとひとつの封筒、ぼくの名前がフルネームで書かれている封筒が下の方から半分だけ見えていた。

ーお元気ですか。
ーあなたがこの封筒を手にしているということは、
ーわたしはもう生きていないということです。

えっ。

残り少ない時間を承知で明日このホテルで結婚式を挙げること。今まで結婚なんて考えずにひたすら仕事をしてきたこと、そんな年齢も余命も含めて、こんなわたしのことがいいと言ってプロポーズしてくれた男性がいたこと。その男性と明日一緒になること。が書かれていた。
そしてそれを何よりもあなたに伝えたかった、わたしは幸せになりましたと伝えたかった、だからあなたも幸せになってください、と。

知らないはずのきみの働く姿、笑い顔、辛そうな顔、そしてその結婚式で優しく微笑むきみの顔、別れてからのいろんなきみの顔が部屋中にあふれていた。

ーきっと今日はあなたの誕生日でしょ。
ーいつの日かわからないけれど、あなたはここに来ると思っていました。
ーそしてその日があなたの誕生日だったらいいな、と。
ーそうだよね。誕生日、おめでとう。
ーもう会うこともないけれど、わたしは大丈夫。ここに来てくれてありがとう。

ここで目が覚めた。
夢とは都合のいいものだ。一番いいところで目が覚める。
続きを見て、別れたあなたにありがとうを伝えようと試みたが、今朝はやけに目覚めが良く二度寝ができない。
なので、今もきっと元気なあなたにここで伝えます。
「ありがとう。ぼくも元気にやっています」

さてと確かにまた一年がはじまります。目標に向って進むことにいたしましょう。
(ここまで書いて思ったこと。最近読んだ小説のストーリーによく似ている。わたしは感化されやすいと言うことか)
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by hello_ken1 | 2008-04-26 15:00 | another story

きみのもしもし #62

 窓から落ちるんじゃないかと思う。
 いつも、そう思う。
ーねぇ、危ないからさ。もういいよ。
ーもう少しだけ。
 何度となくそんなやりとりをした気がする。
 ほんとうは一度だけ。
 きっと
ーもう少しだけ。
 と、また答えそうだから、もう聞かないことにしている。

ーもしもし。
 今日、角を曲がる直前に、きみからメールが届いた。
ーもう少しだけそこにいて。
 この角を曲がるときみからぼくは見えなくなる。そんな角でぼくは振り返る。

 きみはマンションの窓から身を乗り出し、ぼくに手を振っている。
 とっても大きく振っている。
ーねぇ、危ないからさ。もういいよ。
 ぼくは照れた胸の中でそう口にする。うれしいんだけれども、そう口にする。
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by hello_ken1 | 2008-04-21 00:27 | きみのもしもし

きみのもしもし #61

 眼鏡を見ていた。
 季節も変わったし、気分一新。
 このショップで毎回購入している。
 下調べもせずに来てみた。
 どれが今風で、どれが定番なんだろう。よくわからない。
「別の色ありますか」
「こっちの素材ありますか」
「サイズはこれだけですか」
 とりあえず姿見で数本、確認してみる。
 うーん、決め手に欠ける。
 そして結局、きみにメールする。

ーもしもし、またこの前と同じことしてるんでしょ。
 そうだね。今かけている眼鏡のときもそうだった。
ーケータイで写真撮っといて。あとで一緒に見てあげるから。
 ぼくは店員さんに断りをいれて写真を撮る。
 それを添付して送ろうとすると、きみからもう1通メールが来ていた。
ーいいのが見つかるといいね。
 今回も最後の決め手はきみにお願いしようかな。
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by hello_ken1 | 2008-04-20 10:19 | きみのもしもし

きみのもしもし #60

 隣のカップルの会話が聞こえてきた。
「ねぇ今週、毎日会ってるんだね」

 きみとぼくは目を見合わせて微笑む。
 なんだかぼくたちまでほほ笑ましくなってくる。

「そんな時期もあったよね」
 隣のカップルに目配せしながらのぼくの問いかけに、きみはケータイをとりだす。
ー今は週に1回会えるかどうか。ご不満?
 と、きみからのメール。
「会うのはね」
ーケータイがあってよかった。
「もしもし?」
 ぼくはここにいるんだよ。
「はい。もしもし」
 ケータイをバッグにしまったきみはなんだかとっても照れ臭そうで、
 ぼくもなんだか次の言葉を忘れてしまったようだ。
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by hello_ken1 | 2008-04-13 10:00 | きみのもしもし

きみのもしもし #59

 仕事が慌ただしいらしい。
 しばらくメールもケータイからも、きみのもしもしが消えていた。

ー余裕がないのかなぁ。
 少し弱気のきみが見えた。

ー落ち着かないの。ごめんね、連絡できなくて。
 連絡をとっていないのは、ぼくも同じ。先に言われて少し心が痛んだ。

ーもしもし、お願いいいかな。
 短い細切れなメールがきみから届く。

 ぼくはケータイに自分を納め、きみに送信する。
 目一杯のぼくの笑顔をのせて、きみに送信する。

 少しでもきみが元気になりますように。
 きみの願い事がきみを元気にしますように。
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by hello_ken1 | 2008-04-12 10:46 | きみのもしもし

きみのもしもし #58

ーたまにはラテはどうですか。
 おやすみの朝、自宅のマックでメールをチェックしていたら、ちっちゃな添付ファイル付のメールが届いていた。
 どうやらケータイカメラで撮った写真を送ってくれたようだ。

ーおはよう。
 きみのケータイに一言返信してみる。

ーわたしの分もあるのよ。送った写真はあなたのラテだからね。
 そうなんだ。ラテはいかがですか、ではなく、温かいラテをどうぞ、なんだね。

ーもしもし?ちゃんと味わってるぅ?
 はい、ちゃんと味わっていますよ。ありがとう。
 そして、ぼくはきみをデートに誘う言葉をメールに乗せる。

 きみとの今朝はこんなふうに始まった。
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by hello_ken1 | 2008-04-06 09:54 | きみのもしもし

きみのもしもし #57

 商店街の福引きに行った。
 それなりの列の最後尾からガラガラと回すくじまでにはいろんなひとが並んでいた。
 子供からお年寄りまで、家族連れから女子大生まで。不思議と人気は衰えないものだ。
「みんな、何ねらってるのかな」
 きみが小声でぼくにささやく。
 くじ台の後方に景品が並んでいるのが見え隠れする。
「きみは何を当てたいの」
「うーんとねぇ」
 赤い玉、黄色い玉、銀の玉、どのいろが何等賞に紐付いているのだろう。

「もしもし、大丈夫?」
 景品を夢見ていたら、ぼくらの番になったようだ。
 ガラガラガラ。
 ふたりで一緒に回したくじからは赤い玉と黄色い玉がそれぞれひとつずつ飛び出してきた。

 そして今、ぼくらの前には駄菓子セットとインスタント珈琲が置かれている。
「お湯沸かすね」
 駄菓子の封を切るとなつかしい匂いがした。
 キッチンからきみも笑っている。
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by hello_ken1 | 2008-04-05 09:56 | きみのもしもし