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そのひとと雨
そのひとは雨が好きだと言っていた。
「だって部屋でうだうだしてても許されるだろ」 誰が許すのだろう。 「男とまったりとさ」 なんとなく頷いた。 「外に出るなら、傘は大きいのがひとつがいいな」 訳を尋ねてみる。 「肩寄せられるじゃん」そんな簡単なこともわからないのかと言う目をする。 「だからもてないんだよ」と言葉を続ける。 「それに」少しの空白。 「雨のあとは、街も空気も街路樹だってきれいになるんだよ」 急に優しい口調になった。きっといい人のことを思い出しているのだろう。 カフェから見える信号が雨で曇って見える。そのひとは目を細め、さっきからじっと信号を見つめている。 「そろそろ帰っていいよ」 こちらに振り向くと唐突なことを口にした。 「その傘、もってっていいから」 このひとは傘をぼくにわたして、自分はどうするのだろう。 「わたしはもう少し思い出に浸るから、あんたは彼女でもデートに誘いな」 でも、優しく微笑んでいる。 雨の日の信号、どんな思い出があるのだろう。 ぼくはそのひとと別れ、そのひとがずっと見ていた信号に向かって歩いてみた。
by hello_ken1
| 2005-10-17 00:27
| そのひと
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