今は「Midnight Zoo」と「きみのもしもし」を掲載中
by hello_ken1
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2007年 06月 17日 ( 2 )

プロミス #45


good morning. :D how u r ?, originally uploaded by hello.ken1.

 おれは退院したばかりのあーくんと小学校の屋上へ来ていた。
 校庭では葉子がゆっくりとブランコを漕いでいる。

「変わってないね、昔のまんま」
 あーくんが屋上の柵に腕を載せ、静かに口を開いた。
「まさか、屋上のドアの鍵が開きっぱなしまで、昔のまんまだなんてね」
 ふたりして苦笑した。
「不用心だけど、平和だって事じゃないかな。ここから飛び降り自殺したやつなんて聞いたことないもんな」
 あーくんは柵から身を乗り出す仕草をしてみせた。

「結局、麗奈はまた診療所に戻ったそうだよ。おねえさんがそう言ってた」
「麗奈に何が起こったんだろうね」
「でも、おれたちが思っている以上に麗奈はおれたちのことを思っていたんだよ」
「かなりね」
「おれたちはどうだったんだろう」

 あーくんが空を見上げた。おれもあーくんの視線を追うように柵に背をもたれ、空を見上げた。空にはうっすらと雲がかかっていたが、その薄さ加減が空の青色を優しくさせていた。

「もうちょっとだったんだよ。あと一歩で」
「そうだよね。ずっと誰も教えてくれなかったところから、手かがりまでつかんだんだもんな」

 それでも間に合わなかった思い、それでも届かなかった気持ち、今日の心地よい屋上の風だけがせめてもの救いのように感じられた。

「ハコはもう忘れてるよ。忘れてると言うより、ほんとに何も知らないって感じ。あえて言うなら、怖い夢を見たって記憶かな」
「自分がおれを刺したって言う夢かい」
「いや、誰かがあーくんを刺したのをそばで立ちすくんで見ていたって夢だな」
 あーくんはほっと胸を撫で下ろしたようだった。

 そして、ばつの悪そうな顔つきで校庭の葉子に目をやった。
「今日もおれがハコを呼んだんだけどさ」
「以前のようにね」
「今更おれがこんなことを言うのも何々だけど」
「よりを戻せって、言いたいんだろ」

 おれはあーくんの心の声だけは今まで一度も聞いたことがないし、そのわけはわかっていなかった。もともとあーくん以外の人の心の声が何故聞こえてくるのかもよく分かっていない。
ーあーくんの心の声は聞く必要がないんだ。だって、おれはあーくんの思っていること、考えていることがわかるんだもん。おれとあーくんはそのくらい親友なんだから。だから聞こえてこなかったんだ。
 おれこそ今更ながらに、こんなに長くあーくんと付き合ってきたのに、ようやく謎が一つ解けた気がした。

「うん、よく分かったね。そうなんだ。ハコとよりを戻してくれないかな」
 おれたちふたりの視線を感じたのか、校庭にいる葉子がブランコに乗ったまま手を振っている。大きく大きく手を振っている。
ーそろそろ、降りてこないのかなぁ。
 葉子の心の声が聞こえた。

「ねぁ、あーくん。昔よく似た光景があったね」
「ブランコじゃないけど、校庭には笑顔の麗奈がいた」
「戻れるかな」
「戻ろうよ」
 おれとあーくんは頷き合うと、よーいどんっで、屋上を後に競争で階下を駆け降り、校庭へ向った。

(続く)
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by hello_ken1 | 2007-06-17 13:45 | プロミス

きみのもしもし #16

「もしもし」
「。。。」
「もしもし」

「知ってるよ」
ーうん?
「今日がこれから暑くなるのも」
「、、、」
「今日がやっぱり会えなくなったのも」
―うん。
「でも それが今日。そんな日もあるよね」

 ごめん、と一言、ぼくはケイタイをテーブルに置いた。
ー今日、もしもしって言ったのは、ぼくだけだったね。
 なぜかそんなことが気になった。
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by hello_ken1 | 2007-06-17 10:18 | きみのもしもし